ホタルイカ掬い完全ガイド

春の富山湾では、夜の波打ち際にホタルイカが打ち寄せ、青白く光る光景が見られます。地元ではこれを「身投げ」と呼び、タモ網で掬って楽しむのが「ホタルイカ掬い」です。

この珍しく神秘的な体験を求めて、毎年県内外から多くの人が訪れます。このページでは、初めての方がホタルイカ掬いを安全に楽しむために知っておきたいことをまとめました!

夜の浅瀬で、ヘッドライトを付けた人たちがタモ網でホタルイカを掬っている様子

ホタルイカと「身投げ」

ホタルイカは胴の長さ4〜7cmほどの小さなイカです。ふだんは水深200〜600mの深い海で暮らし、寿命は約1年。春に産卵して一生を終えます。

産卵の時期、雌は夜に浅いところまで上がってきます。そのうち波打ち際に打ち寄せられ、青く光るのが「身投げ」です。岸で掬えるのはほとんどが雌で、なぜ岸まで来るのかはまだわかっていません。

ホタルイカの生態をもっと詳しく光るしくみ、1年の一生、身投げの謎、富山湾との関わりなど→

いつ・何時ごろ行けばいい?

ホタルイカ掬いのシーズンは 2月末〜5月です。年によっては2月前半から6月まで見られます。

月ごとの目安

2月後半〜3月上旬
シーズンの始まりです。湧く日はまだ少なく、量も控えめなので空振り覚悟で様子を見る時期です。
3月中旬〜下旬
徐々にホタルイカが湧く日が増えてきます。たくさん湧いたという報告も出始めます。
4月
シーズンの最盛期です。最も湧きやすく、最も混む時期です。
5月
シーズンの終盤であり、少しずつ減りますが、条件がそろえばまだ湧きます。大型連休を過ぎると人出も落ち着きます。
6月
ほぼ終わりです。湧くのはまれです。

時間帯の目安

ホタルイカが身投げするのは深夜から明け方が中心です。明るくなるころには見られなくなります。

21〜23時
まだ湧くには早い時間帯です。ポツポツと現れる日もありますが、この時間に湧く日は大量に取れる傾向があります。下見や場所選びの時間にする方が多いです。
23〜1時
身投げが起こる日はこの時間帯から徐々に湧き始めます。
1〜4時
ホタルイカが一番湧きやすい時間帯です。
4時〜明け方
少しずつ減っていきます。大量に身投げした日の明け方には波打ち際の浜に大量にホタルイカが打ち上げられています。

※日によって大きく前後します。

湧きやすい日の条件

どのような日に湧くのかは、まだ完全には解明されていません。以下は、絶対条件ではありませんが一般的に湧きやすいと言われている条件です。

月齢
新月が近く月明かりの少ない日に湧きやすいです。
気温
比較的暖かい日が湧きやすいです。
風
風が弱く、陸から海へ南寄りの風が吹く日が湧きやすいです。
波
波が穏やかな日が湧きやすいです。波が高い日は海へ近づくのも危険です。
潮
満潮の前後がよいと言われます。
海の濁り
大雨のあとなど、海が濁っている日は湧きにくいと言われます。

当サイトでは、過去の湧き具合と気象・海の条件などをもとに作成した自作の機械学習モデルが湧きやすさを予測しています。トップページで確認できます。

どこで掬える?主なスポット

富山湾沿いの砂浜なら、どこでも身投げが見られる可能性があります。ここではよく名前が挙がる場所を西から東の順に紹介します。

晴れた日の海老江海浜公園。芝生広場と海沿いの遊歩道、砂浜と波打ち際が続いている

海老江海浜公園射水市

砂浜の海岸で、ウェーダーを着て波打ち際に入り、タモ網で掬う人がほとんどです。東の本江海岸まで砂浜が続き、歩いて湧いている場所を探せます。駐車場とトイレがあり、初めてでも安心です。土日・祝日や大型連休は暗くなる前から人が集まり、駐車場があふれることもあります。

駐車場
第1駐車場116台・第2駐車場204台(無料)、トイレあり
アクセス
北陸自動車道 小杉ICから車で約20分
足場
砂浜
こんな人に
初めての方、家族連れ、トイレが近くにほしい方
晴れた日の四方漁港。海に沿って延びる防波堤と、その先の赤い灯台

四方漁港 周辺富山市

富山市西部の漁港です。漁港内でのホタルイカ採りは自粛が呼びかけられているため、港の東側の砂浜や小さな堤防で掬います。深夜はとても混み合います。港のまわりは遠浅ではなく突堤が多いため、柄の長い網があると掬いやすくなります。

駐車場
少なく、すぐ埋まる。路上駐車は厳禁
足場
砂浜と小さな堤防
注意
駐車場へ入れる時間を制限する看板があるので、必ず確認する
こんな人に
装備がそろっている方
晴れた日の八重津浜。遠浅の海と砂浜が続き、奥に白と青の鉄塔と松林、立山連峰が見える

八重津浜富山市

四方漁港の東隣の海水浴場です。遠浅で砂浜が広く、海に入水して掬いたい方に向いています。砂浜から10m以上入っても腰より深くならないと言われるほど浅く、広い浜を歩きながら探せます。

駐車場
海水浴場の無料駐車場(約80台)、トイレあり
通行
夜間(19時〜翌6時)は四方海浜公園の入口から漁港までの道がチェーンで閉鎖される。海水浴場側(東側)から入る
足場
遠浅の砂浜
こんな人に
初めての方、家族連れ
岩瀬浜。波が寄せる広い砂浜と松林の向こうに、雪をかぶった立山連峰が見える

岩瀬浜富山市

富山市中心部から近い海水浴場です。遠浅の砂浜で、シーズン中は深夜でも浜じゅうにヘッドライトが並ぶ人気スポットです。岸から10〜20mほど浅瀬が続き、隣の岩瀬漁港ではなく浜で掬う人がほとんどです。

駐車場
無料駐車場 約200台、トイレあり。第1〜第3駐車場は19時〜翌6時30分にゲートが閉まり、夜通し使えるのは1か所だけ。週末はほぼ満車
アクセス
富山駅から富山港線で約25分の「岩瀬浜」駅から徒歩約5分。深夜は電車が走っていないので帰りの足に注意
足場
遠浅の砂浜
こんな人に
初めての方、家族連れ
滑川の海岸。階段状の護岸に波が寄せ、沖には消波ブロックが並んでいる

滑川エリア滑川市

ホタルイカ漁の本場で、身投げ掬いの人気エリアです。特に、ほたるいかミュージアム裏の海岸で掬う人が多いです。北隣の滑川漁港の白灯台(ほたるいか灯台)手前の砂浜でも、身投げが見られることがあります。

足場
コンクリートの階段があり、そこから海に入って掬う。水際の段は濡れて滑りやすい
駐車場
道の駅の無料駐車場(約160台)。24時間使えるトイレは展望台近く
注意点
消波ブロックには登らない。防波堤は暗く足元が見えにくいので転落に注意。漁港内は一部立入禁止
こんな人に
駐車場やトイレが近い場所で掬いたい方、初めてホタルイカ掬いに挑戦する方
晴れた日の魚津港。港の岸壁と停泊する漁船の向こうに、とんがり屋根の建物と雪をかぶった立山連峰が見える

魚津漁港・魚津補助港魚津市

護岸や堤防の上から掬うことが多く、5mほどの柄の長いタモ網が必要です。魚津港は、港町にある北地区(魚津漁港)と、上口にある南地区(魚津補助港。魚津南港とも呼ばれる)の2か所に分かれています。

足場
護岸が中心。補助港は港内の岸壁が平らで立ちやすく、白灯のある防波堤の外側はテトラポッドで足場が悪い
駐車場
魚津漁港は隣の海の駅蜃気楼の駐車場とトイレを利用。補助港は専用の駐車場はなく、港の中も広くないので、漁業の邪魔になる場所には停めない
アクセス
補助港は富山地方鉄道「西魚津」駅から徒歩約10分
注意
立入禁止の看板や柵がある場所には入らない
こんな人に
護岸から掬いたい方
朝日町の海岸。青い海に沿って小石の浜が続き、奥に山並みが迫っている

入善町・朝日町湾の東端

新潟県寄りのエリアです。湾の西側と東側で湧き方が違う日もあるので、ほかで湧かない日の候補になります。砂浜のほか岩場や小石の浜でも掬われていて、朝日町の宮崎・境海岸(ヒスイ海岸)は小石の浜です。

足場
場所によって砂浜と小石の浜がある。小石の浜は滑りやすいので足元に注意
駐車場
ヒスイ海岸駐車場 約200台
こんな人に
混雑を避けたい方。湾の東側まで足を延ばせる方

※日によって湧く場所は大きく変わります。掲示板を参考にしながら、湧いている場所に移動するのもおすすめです。

掬い方は2通り

陸から掬うか、海に入って掬うかの2通りです。

① 護岸から掬う

護岸や堤防の上から、柄の長いタモ網で海面を掬います。

よいところ
濡れない。ウェーダーがいらない
気をつけること
4〜5m以上の長い網が必要。海面が遠いので慣れが要る。落ちると上がれない場所もある

② 海に入って掬う

ウェーダー(胴付き長靴)をはいて浅瀬に入り、目の前のホタルイカを掬います。

よいところ
短い網で済む。たくさん掬いやすい。光る姿を間近で見られる
気をつけること
波にさらわれる危険がある。ウェーダーとライフジャケットが必須。体が冷えやすい

海に入って掬う際は、深くても膝くらいまでに。ウェーダーに水が入ると重くなり、身動きがとれなくなります。波が高い日は海に入らないでください。

持ち物と服装

必ず持っていくもの

タモ網
海に入るなら柄2m前後、護岸からなら4〜5m以上が目安です。網目が粗いとホタルイカが抜けます。
ライト
ヘッドライトまたはハンドライト。海中を照らしてホタルイカを見つけるには高い明るさが必要です。
バケツかカゴ
掬ったホタルイカを一時的に入れておくためのものです。
長靴かウェーダー
砂浜の波打ち際だけなら長靴で大丈夫ですが、海に入るならウェーダーが必要です。

あると便利なもの

浮き付きのカゴ
海に入って掬う際に腰に結んで浮かべておけば、ホタルイカを捕獲するたびに岸まで戻らずに済みます(作り方は下で)
クーラーボックスと氷
持ち帰り用(詳しくは「持ち帰り方と食べ方」で)
タオル・着替え
海に入るので濡れることがあります。着替えやタオルがあると安心です。
ネオプレンの手袋
夜は寒いので、手を温めるために必要です。

浮き付きカゴの作り方

買い物カゴの側面に空のペットボトルを結束バンドで固定した、浮き付きカゴ
  1. 穴のあいたプラスチックの買い物カゴ(穴が大きいとホタルイカが脱走します)を用意する
  2. ふたを閉めた空のペットボトルを4本ほど、カゴの側面に結束バンドで均等に固定する
  3. 取っ手にひもを結び、反対側を自分の腰やウェーダーのベルトに結ぶ

服装

春でも深夜の海辺は真冬のように冷えます。風を通さない上着に帽子やネックウォーマーを合わせ、しぶきや雨に備えてレインウェアもあると安心です。

持ち帰り方と食べ方

持ち帰り方

海水と氷を入れたクーラーボックスで持ち帰ります。真水に浸かると身が傷みやすくなります。

  • クーラーボックスに氷を入れ、現地で汲んだ海水を足しておく
  • 氷は袋に入れたままか、凍らせたペットボトルを使うと真水が混ざらない
  • 詰め込みすぎず、帰ったらなるべく早く下処理する

下処理

軽く洗う
砂や汚れを落とします
目・くちばし・軟骨を取る
口に残りやすいので、気になれば取り除きます
食べきれない分は冷凍
ゆでてから小分けにして冷凍しておくと便利

⚠️ 生で食べないでください

ホタルイカの内臓には、旋尾線虫(せんびせんちゅう)という寄生虫の幼虫がいることがあります。体長5〜10mmと細く、目で見てもほとんどわかりません。

生で食べると、数時間〜2日後に激しい腹痛や吐き気が起き、腸閉塞になることもあります。2週間ほどして、皮膚にミミズ腫れのような跡が移動する症状が出ることもあります。

自分で掬ったものは、沸騰したお湯に入れてから30秒以上ゆでて食べます(中心まで60℃以上になれば安全とされています)。

厚生労働省の通知では、生食する場合は内臓を取り除くか、「-30℃で4日間以上」またはそれと同等の条件(例:中心温度-35℃で15時間以上、-40℃で40分以上)で冷凍するとされています。家庭用冷凍庫(-18℃前後)では満たせないため、生で食べたい場合は「冷凍処理済み」の生食用商品を選んでください。

ルール・安全・マナー

掬うこと自体は認められています

富山県漁業調整規則では、漁業者でなくても海でたも網を使って採ることが認められています。ただし漁港の立入禁止区域や採取の自粛が呼びかけられている場所など、場所ごとのルールもあります。看板は必ず確認し、従ってください。

安全のために

  • できるだけ2人以上で行く
  • 出発前と現地で、波と風の様子を確認する。荒れている日は海に入らない
  • テトラポッドの上や、防波堤の柵の外には出ない
  • 寒さ対策をしっかりして、体が冷えたら無理せず切り上げる
  • 子どもから目を離さない。波打ち際では手をつなぐ

マナー

海辺や漁港は、地元の方の暮らしと仕事の場です。深夜の騒音、路上駐車、ゴミの放置、トイレや水道の長時間使用は、苦情や規制強化につながります。出かける前にホタルイカ掬いのマナーも読んでおいてください。

よくある質問

Q. 誰でも自由に掬っていいのですか?

A. はい。海でのたも網による採捕は、富山県漁業調整規則で漁業者以外にも認められています。ただし漁港内の立入禁止など場所ごとのルールもあるので、現地の看板に従ってください。

Q. 何時ごろに行けばいいですか?

A. 深夜から明け方が中心ですが、日によって大きく違います。出かける前に当サイトの湧き予測や掲示板の最新報告を確認しておくと安心です。

Q. 掬ったホタルイカを生で食べてもいいですか?

A. いいえ。内臓に旋尾線虫という寄生虫がいることがあり、家庭用冷凍庫では駆除できません。沸騰したお湯に入れてから30秒以上ゆでれば安心して食べられます。

Q. 子ども連れでも楽しめますか?

A. 遠浅の砂浜で、波打ち際から離れなければ楽しめます。足元が暗いので必ず大人が付き添い、子どもにもライフジャケットを着せてください。

このサイトでは、ホタルイカが湧きやすい日をAIで予測しています。

トップページで今日・今週の湧き予測を確認する。

写真提供

冒頭の写真
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